第275章

「赤のお姉さんが病気になって……実家に帰って付き添うことになったの。もう戻って来られないかもしれないって、脱退を選んだわ」藍沢希依はそう言って、軽く首を振った。「私たちのバンド、S市で一番メンバーの入れ替わりが激しいかもしれないわね」

「曲のクオリティさえ落ちなければ、ファンはついてくる」栗山弥音は淡々と言った。

「その通りだ」佐々木允は、底知れぬ笑みを口元に浮かべた。

 傍らで聞いていた葉原遥子は、思案げに頷く。瞳の奥の疑念は晴れていなかったが、それ以上は何も聞かなかった。

「追加だぞ、みんな」佐々木飛雄がどこからともなく現れ、香ばしい匂いを漂わせる焼肉の大皿を捧げ持っていた。「俺...

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