第55章

葉原遥子の頭の中で突然、憎悪に満ちた呪いの声が響いた。「地獄に落ちろ!」

彼女は眉をひそめ、葉山甚介の残忍な眼差しを思い出した。彼以外に思い当たる人物はいなかった。

まさか……

そのとき、病室のドアがそっと開き、葉原叔父さんの焦りを帯びた声が聞こえてきた。

「遥子、目が覚めたのか?具合はどうだ?どこか不快な箇所はないか?」

葉原遥子は首を横に振った。顔を上げると、葉原叔父さんの隣には不機嫌そうな顔をした朝日が立っていた。彼女の瞳が一瞬、かすかに曇った。

もしこの事件が本当に葉山甚介の仕業なら、葉原叔父さんには申し訳ないが、彼女は手を下さなければならない。結局のところ、彼女と氷川晨...

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