第56章

「彼を見逃したとして、葉原遥子はどうなるの?」高橋空は目を細め、冷淡な口調で言った。

彼は黒服のボディーガードに倉庫から三人を引きずり出させた。

葉原叔父さんと朝日は自分の息子を見るなり、顔に緊張と焦りの色を浮かべた。

「甚介、大丈夫か!」

その言葉に、高橋空は冷ややかに朝日を一瞥した。

葉原叔父さんは眉間に深いしわを寄せ、一歩前に出ると、葉山甚介の頬に鋭く響く平手打ちを喰らわせた。

「この畜生め、自分のいとこを陥れるとは!」

「こんな残酷なことまでするとは!普段どう教えてきたと思っている!」

高橋空は眉を上げ、腕を組んだまま冷淡に傍観していた。

そのとき、黒服のボディーガ...

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