第64章

「あなたこそ頭おかしいんじゃない!」

松本彩は言うが早いか、平沢逸の頭にげんこつを食らわせた。

葉原遥子はその傍らで、二人がじゃれ合う様子を微笑ましげに眺めている。

「今回の夜遊びの会には、大勢の人が来るはずよ」葉原遥子は言った。「S市で名のある大物たちに、ちょっとした贈り物をしようと思ってるの」

高橋空が眉を上げ、口元に意味ありげな笑みを浮かべる。

平沢逸と松本彩は、百パーセントのシンクロ率でぱちくりと瞬きをした。

「どんな贈り物?」

「小さなブレスレットよ」

葉原遥子は笑って答えた。

平沢逸がわけが分からずにいると、葉原遥子は彼にトレンドを買いに行かせ、この情報を素早く...

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