第65章

「わ、私、少しお手洗いへ……」

佐々木飛雄は酒を飲んだ直後、下腹部に燃えるような熱さを感じ、これ以上ここにいればまずいことになると悟った。彼は慌てて宴会ホールを後にすると、ややおぼつかない足取りで洗面所の方へと向かった。

「彼、どうしたのかしら?」松本彩はどこかおかしいと感じたが、それが何なのかはっきりとは言えなかった。

葉原遥子はしばらく佐々木飛雄の後ろ姿を見つめていたが、我に返ったときには、あの給仕の姿はとっくに消えていた。

一つの良くない推測が、彼女の脳裏をよぎる。

「まずい! 佐々木飛雄が危ない!」葉原遥子ははっと気づき、松本彩の手を引いて彼を探しに行こうとした。

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