第102章 先生

廊下は、きっかり5秒――水を打ったように静まり返った。

次の瞬間、ぼんっと火に油が注がれたみたいに、人波が一斉に沸騰する。

「保坂学長が、あの子を先生って呼んだ?」

「保坂学長よ!? 業界42年の大御所が、先生って!」

「今の録れてる!? 誰か録った!?」

「録った、録った! やばっ、これ絶対フォーラムに上げる!」

「TSデザイン学院学長として――そして、デザイン業界で42年積み上げてきた私の名誉にかけて保証します。池田暁月の成績はすべて真実であり、彼女の専門性は、いかなる疑念にも耐えうるものです」

保坂学長の声が、あらゆるざわめきを真っ向から押し潰した。

彼はくるりと向き直...

ログインして続きを読む