第105章 暗流

その物言いは、情け容赦の欠片もなかった。加賀廷悟の顔に一瞬だけ苦みが走る。だが、その手はもう勝手に封筒へ伸びていた。

厚みを指先で確かめると、顔の笑みが戻る。しかも、さっきまでよりずっと愛想よく、ずっと卑屈に。

「宮本様、ご安心ください! きっちり段取りします。宮本家のお顔に泥は塗りません!」

「そのときが来たら、こちらから先に連絡するわ」

宮本明珠の声は、ふたたび冷えきったものへ戻っていた。

「池田暁月には、あなたから連絡を入れて。呼び出す場所は、いつものところ。最後に一度だけ会いたい――そう言えば、あの子は来る」

「最後に……ですか?」

加賀廷悟は、きょとんと目を瞬かせた。...

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