第109章 分岐

正午に差しかかるころ、山道の輪郭は次第にあいまいになっていった。

引率教師が先頭で選んだ道は、夏の鉄砲水で寸断されていた。もともとの小径は、砕けた石と倒木にびっしり埋もれ、跡形もない。

教師は地図を取り出してしばらく睨み、やがて脇道へ迂回することを決めた。だが、その脇道も進むほどに細くなり、左右の木々はますます濃く迫ってくる。ついには、道の痕跡すらほとんど見えなくなった。

「先生、これ道間違えてませんか」

そんな声が上がり、別の誰かはスマホを取り出してナビを確認する。

その直後、一人目の画面に『圏外』の表示が弾けた。続いて二人目、三人目。あっという間に全員のスマホが、電波の入らない...

ログインして続きを読む