第11章 解除しない

 

「婚約を結んだのは宮本家と新井家です」

新井飛鳥が淡々と訂正する。

「あなたは宮本家の養女だ。厳密に言えば、その婚約は君には適用されない」

宮本明珠は平手打ちでも食らったように、その場で硬直した。

そのとき、背後から新谷若夜の声が飛んだ。

「新井殿、今なんと?」

新井飛鳥が振り返ると、新谷若夜が早足でこちらへ向かってくるところだった。

娘のことが気がかりで、運転手に引き返させて来たのだろう。

若夜は険しい顔で飛鳥の前に立ち、詰問するような口調になる。

「新井殿。婚約が明珠に適用されないなら、いったい誰に適用されるの? 暁月のどこが気に入らないの。婚約を解消するつもり?」...

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