第127章 円磨村

新井飛鳥は池田暁月の背後に立ち、周囲をぐるりと見回した。

土壁の家の戸は半開きのまま。敷居には分厚い埃が積もり、戸枠に吊るされた干し物はカビて黒ずんでいる。

庭の隅には手押しポンプの井戸。取っ手は赤茶けた錆だらけで、その脇には縁の欠けたプラスチックのバケツが転がっていた。底には濁った雨水が半分ほど溜まっている。

「……たぶん、一人暮らしだな」

新井飛鳥がしゃがみ込み、地面に落ちていた空の薬瓶を拾い上げた。

ラベルは擦れて読みにくい。それでも栄養補助剤の類だと分かる。製造日は2年前。

「それに、ずいぶん長いこと世話されてない」

池田暁月は写真をしまい、立ち上がると隣家の門口へ向か...

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