第130章 土石流

「見てきた」

新井飛鳥が、彼女の口にしかけた不安を遮った。

「屋根に穴がいくつか空いててさ。昨夜、防水シートでとりあえず塞いだ。小田おばさんが今朝、木下おばさんを自分の家に連れていったよ。雨が止んだら戻すって。木下おばさんは情緒はまだ落ち着いてる。ただ、あの写真だけはずっと抱えたまま離さない」

池田暁月はほっと息を吐き、俯いて熱い湯をひと口飲んだ。

喉を滑り落ちた熱が、雨の日の冷えを少しだけ追い払う。

彼女は戸口にもたれ、庭に溜まっていく水がじわじわと深くなるのを眺めながら、頭の中で手がかりを転がし続けた。

欠片は、もう大まかな輪郭を形作っている。

だが、いちばん肝心な一片が足...

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