第134章 妻子を捨てる

「少し雨に濡れただけ。もう熱も下がった」

池田暁月はソファに腰を下ろし、新谷若夜から渡された白湯を両手で包み込んだ。

「新井飛鳥と、Q町まで行ってきたの」

宮本志遠が新聞を置き、宮本正言もスマホから手を離す。

宮本亜蘭だけはゲームを続けていたが、音量はいつの間にか最小に絞られていた。

「Q町?」

宮本志遠が眉を寄せる。

「何しに行った」

「円磨村っていう村があるって聞いて。景色がいいらしいから、見てみたくて」

暁月は白湯をひと口。週末の買い物先でも話すみたいな、気のない調子だった。

「でも着いてみたら、住んでるのは二十戸にも満たなくて。半分以上が年寄り。村の入口に古い槐の...

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