第161章 冷たい屋敷

時計の針が刻む一打ち一打ちが、時間が一秒ずつ過ぎていくことを突きつけてくる。――そして彼女はもう、あの賑やかな世界の中にはいない。

執事が湯気の立つホットミルクを運び、目の前のローテーブルにそっと置いた。

「お嬢様、召し上がって。お早めにお休みください」

「坂東さんはどこ?」

宮本明珠は顔を上げて尋ねた。けれど返事はない。

彼女はカップを手に取る。

ふと、思い出した。新谷若夜も、寝る前になるとよく温かいミルクを持ってきてくれた。ベッドの端に腰かけて、背中をとんとんと叩きながら宥めてくれて――。

今の彼女がいるのは、四方を松林に囲まれた、冷えきった別荘だ。

かつては何もかも持っ...

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