第165章 仲間

「彼女さえいなければ、あなたはお披露目の宴で恥をかかずに済んだ。彼女さえいなければ、池田家がネット中の笑いものになることもなかった。彼女さえいなければ、加賀廷悟は今もあなたの婚約者だった」宮本明珠は淡々と続けた。

受話器の向こうが、また数秒、沈黙する。

やがて池田花依の声が戻ってきた。今度は金切り声でも罵声でもない。低く、押し殺した震えを含んだ探るような声。

「……あんた、私に何をさせたいの?」

宮本明珠は濃い灰色のソファの肘掛けにもたれた。足裏の傷は、もう痛まない。

意識のすべてを、電話の向こう――同じく池田暁月に踏みつけられた女へ向ける。口元が、冷たく確信めいた弧を描いた。

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