第167章 騒動を起こす者

彼女は塀際に身を寄せるようにして裏山の外壁まで回り込み、月明かりを頼りに、小田おばさんが言っていた「欠けたところ」を見つけた。

青い煉瓦が何枚も崩れて地面に散らばり、不格好な裂け目になっている。ちょうど人ひとりが横向きになれば、すり抜けられる幅だ。

煉瓦の隙間の土はすっかり乾ききっていて、踏むと、かすかなぱきりという砕ける音がした。

身をひねって裂け目を抜けるとき、セーターの背中が欠けた煉瓦の角に引っかかり、毛羽だった筋が一本走る。

それでも彼女は振り返らない。

裏山の土の道は月に照らされて灰色に霞み、地面には松葉がびっしり敷かれていた。踏めばふわりと柔らかいのに、どこか滑る。

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