第169章 毒薬

新谷若夜は彼女が玄関をくぐるなり立ち上がって駆け寄り、手を取って上下に目を走らせた。

「今日、医学館で騒ぎがあったって聞いたけど……大丈夫? あいつら、あなたに手ぇ出してない?」

「平気」

池田暁月がそう答えても、新谷若夜はなおも手首をくるりと返して確かめ、青あざひとつないのを見てようやく息をついた。彼女をソファへ座らせ、熱いお茶を手に押し込む。

向かいの席には宮本志遠。

「片づけはどうなった、つきちゃん」

池田暁月は病院のカルテの件をかいつまんで話した。宮本志遠は聞き終えると小さくうなずいただけで、余計なことは言わない。

池田暁月は湯気の立つ湯呑みを持つ指を、ほんの一瞬だけ止...

ログインして続きを読む