第17章 あんたたちの家には帰らない

 

手元のそれをもう一度だけ見やる。エメラルドグリーン。ガラス種で、筋も割れもない。文句なしの最高級品――本物だ。

新谷若夜は深く息を吸った。

ようやく腑に落ちた。

この二人は、わざと彼女を貶めているのではない。心底、見る目がないのだ。

無知は、ときに悪意より人を黙らせる。

池田暁月は少し離れた場所で、その一部始終を眺めていた。

母が翡翠の腕輪を持つ手をわずかに強張らせたこと。池田奥さんと池田花依が浮かべる『かわいそうに』という顔。

そのどれもが、胸の奥に複雑なものを呼び起こす。

池田家で過ごした日々が、ふと蘇った。

池田奥さんはいつだってそうだった。自分が上で、よその物は...

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