第31章 心は固い

「明珠……」

須藤怜が恐る恐る声を落とす。「私たち、どうすれば……新井飛鳥が言ってた。池田暁月の身体に、これ以上どんな痕でも残ってるのが見つかったら――」

「違う! 私たち、触ってすらない!」

言い返したのは松本笑子だった。「肩をちょっと押しただけ。服にシワがついただけじゃん」

言い切らなくても、何を指しているかは明白だった。

宮本明珠は深く息を吸い込み、胃の底で渦巻く怒りと恐怖を押し沈める。

顔を上げると、いつもの柔らかな微笑みを貼りつけた。けれど、その瞳の冷たさだけは、今まででいちばん濃い。

「分かった」

明珠は静かに言う。

「あなたたちは先に戻って休んで。今日のこと、...

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