第42章 軽視

専用カウンターの販売員が、奥から足早に出てきた。

三十代前半くらいの女で、作り込んだ濃いメイク。視線は池田奥さんの手元のエルメスのバッグに一秒だけ止まり、次いで新谷若夜の――ロゴも見当たらない無地のセットアップに一秒。

そして、半秒もかからず結論を出す。

「池田奥さん!」

販売員は満面の笑みで駆け寄り、甘ったるい声をねっとり絡ませた。

「先日ご予約いただいていたショー限定の入荷がございました。倉庫に特別にお取り置きして、誰にも触らせておりません。こちらへどうぞ——」

くるりと向き直ると、新谷若夜と池田暁月に向ける声色だけが露骨に冷えた。表情も事務的に貼りつく。

「お二人は少々お...

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