第47章 思いがけない来訪者

居間に残る茶の香りがまだ薄れていない。

玄関のほうから、ハイヒールが大理石を叩く甲高い音がぱつぱつと響いた。速く、硬いリズム。

新井怜が入ってきたとき、祖父の顔にはまだ笑みが残っていた。

墨緑のスーツ。隙のないメイク。髪はきっちりまとめられ、口元には笑みが浮かぶ。けれど、その笑いに温度はほとんどない。

「お父さん、来客があるなら一言くらい言ってくれてもいいじゃない」

新井怜の視線が居間をひと回りする。宮本亜蘭をかすめ、宮本明珠をかすめ、最後に池田暁月で止まった。

まるで、突然置かれた安物の置物でも眺めるみたいな目。

「どうして来た」

祖父は手元の碁石を置き、声だけ少し淡くした...

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