第53章 封殺

夏目権二は新井飛鳥の執務机の前に立ち、書類一式をそっと天板へ置いた。

その手つきはやけに慎重で、まるで――いまにも荒れ狂いそうな嵐を、触れずにやり過ごそうとしているかのようだった。

「新井社長。監視カメラの原本、確保できました」

夏目権二は一拍置き、淡々と続ける。

「1809号室前の廊下カメラが、スタッフがブレーカーを落とした一部始終を撮っています。ドリンクカウンターのカメラは池田健永の薬物混入。角度が良くて、正面も手元もはっきり映ってます」

さらに一枚、二枚と確信を重ねる口調で言った。

「池田花依がスタッフにトレーを替えさせた流れも丸ごと残ってます。本人はビュッフェ台の裏に回れ...

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