第61章 兄貴の冷静さ

「もし本当に暁月が君を突き落としたなら、監視カメラに映っている。――それが証拠だ。逆に違うなら、映像が暁月の潔白を証明する。結果がどうであれ、まず事実確認をするべきだ。君たち二人に対して責任を持つためにも」

そう言う宮本正言は、声を荒げもしないし、語気を強めもしない。

それなのに一語一語が、反論の余地を与えない筋道を帯びていた。

宮本亜蘭は横で頭をぽりぽり掻く。兄貴の言い分は確かにもっともだ、と思う。けれど明珠はあんなに泣いていた。演技とも思えない――そんな迷いも残った。

新谷若夜は宮本正言をちらりと見ただけで口を挟まず、茶をひと口。わずかに持ち上がった口元を、湯呑みの陰に隠した。

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