第68章 宴に赴く

池田暁月はいつもどおり、雲隠山荘へ新井爺様の定期検診に向かった。

週に一度。雨が降ろうが槍が降ろうが、欠かしたことはない。

ただその日、出発しようと玄関へ降りると、いつもと違って人影がひとつあった。

宮本正言が濃い灰色のコートを羽織り、車のキーを指先で弄びながら、ドア枠にもたれて待っている。

階段を下りきった暁月は顔を上げ、彼の姿を認めると足がわずかに止まった。

正言は彼女を見ようともせず、顎で外を示す。

「行くぞ。ちょうど同じ方向だ。母さんが行けってさ。新井家と宮本家は昔からの付き合いだろ。俺が帰国したのに挨拶しないのも筋が通らないって。お前、今日診てもらう日なんだろ。ついでだ...

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