第71章 訪問

「おまえ、なんで新井飛鳥に勝てないか分かる? それは、一度もリスクを踏めないからだよ

 負けるのが怖い。何か起きるのが怖い。嗅ぎつけられるのが怖い。責任を取るのが怖い。何もできないくせに、何の顔して新井家の金を使うつもり?」

新井遠は言葉を詰まらせ、返す一言も出なかった。

「女の後ろに隠れてるだけの、役立たず」

吐き捨てるように言って、彼女は通話を切った。スマホをテーブルへ放り投げると、画面が薄暗い照明に一瞬だけ光って――すぐに落ちる。

新井飛鳥のマイバッハが宮本家の邸宅の門前に止まった頃には、夕闇はすっかり沈んでいた。

夏目権二は連れてこない。飛鳥は自分で、錦箱を二つ提げて車を...

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