第8章 邪魔立て

 

そのデザイン画は、良くも悪くも無難だった。手堅くまとまっている。だが、心を掴むような尖りもない。

――池田暁月の実力も、この程度か。

そう思った者は多かった。

だが、江口一鶴だけは違うものを見ていた。

一見すると平凡。ところが線の流れ、比率の取り方、余白の置き方――どれも異様なほど正確だ。正確すぎるがゆえに、逆に目立たない。

わざと、刃を引っ込めている。

江口の胸の内で言葉が転がった。

――ボス、わざと手を抜いてるな。

宮本明珠はそこまで読み取れない。池田暁月の腕が足りないのだと決めつけ、密かに勝ち誇った。

「お姉さま。私、最近も新しいデザインを描いているんです。今度お...

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