第84章 窮地

まるで、誰かと内外で呼応しているみたいだった。

池田暁月は眉をつり上げる。

けれど今は、そんなことを考えても仕方がない。最優先は、ここから出ること。

窓辺へ寄り、外を一瞥した。

古い鉄枠の窓。ガラスの外には防犯用の格子が溶接されていて、格子の幅は猫一匹すら通れないほど狭い。

スマホを取り出す。圏外。

離れの位置は池田家の別荘の最奥。周囲を本邸とガレージに囲まれ、電波はもともと弱い。

決勝当日。シンガポール・ゴールドフェザー賞の決勝会場――円形劇場は満席だった。

審査員席には七か国から集まったトップデザイナー。ファッションメディアのチーフ評論家、各ラグジュアリーブランドの...

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