第94章 背後からの一刺し

引き出しの中には、画稿がひと束しまわれていた。

池田暁月がふだん気まぐれに描くラフじゃない。数年前の作品だ。紙の端はうっすら黄ばんでいるのに、画面の隅にある署名だけは、妙なほどくっきりしていた。

そこに書かれていたのは「池田暁月」ではない。

宮本明珠が、見慣れすぎるほど見慣れた――あるデザイナーのサイン。

何度も見てきた。ほとんど毎月、業界の権威ある専門誌の表紙で目にする名前。デザイン界で、頂点に近い場所にいる存在。

デザイナーT。

宮本明珠の指先が震えはじめた。

瞳孔がきゅっと縮む。頭の中で、真ん中から引き裂かれたトランプの束みたいに、散らばっていた欠片が一気に噛み合っていく...

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