第448章 藤崎蓮、手を放して

藤崎蓮はバスタブに身を沈め、寛いでいた。切れ長の美しい瞳を微かに閉じ、その姿は至極快適そうに見える。

だが、自分では指一本動かそうとしないその態度に、高橋美桜は猛烈な苛立ちを覚えた。

ここに越してきたのは、藤崎蓮に借金を返すためであって、彼の入浴介助をするためではないはずだ。

そもそも、これに対する報酬は発生しているのだろうか?

美桜は心の中で悪態をつき、悔しげな表情を浮かべる。地蔵のように動こうとしない彼を前に、立ち尽くすことしかできない。

痺れを切らした蓮が、ゆっくりと瞼を持ち上げた。「早くしろ」

「嫌です」美桜は唇を噛み締め、羞恥と怒りを滲ませて答える。

すると蓮は、彼女の...

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