第58章 彼から離れた方がいい

「あなたたち、何してるの?」

 澄んだ問い詰める声が、狭い廊下に響いた。

 仕事が終わるとすぐに高橋美桜の家に来た桜井明穂は、三十分も待っても彼女が帰ってこないので、暇つぶしにソファに寝転んでフェイスマスクをしていた。ドアの外から高橋美桜の声が聞こえたので、鍵を忘れたのかと思ったが、まさかドアを開けてこんな光景を目にするとは思ってもみなかった。

 ワイルドすぎるでしょ!

 人目も憚らず、家に着くのも待てずに、乾いた薪と燃え盛る炎のように抱き合っているなんて!

「あの、私、ここにいちゃいけないみたい。続けて、すぐに出ていくから」桜井明穂は軽く咳払いをし、慌てて部屋に駆け込むと荷物を持って...

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