第5章

日曜日の午後、私は佐藤松也の部屋のドアをノックした。

「このデバイスは、すべてを鮮明に記録してくれる」佐藤松也はそう言って、小さなボタンにしか見えないものを掲げた。「坂井瑛太と一緒にいるときに、これを押すだけでいい」

私はその極小のレコーダーを手のひらで転がし、こんなに小さなものがこれほどの力を持つことに驚嘆した。「もし彼に見つかったら?もし私がしくじったら?」

「大丈夫」佐藤松也の声には、すべてを考え抜いた者に特有の自信が宿っていた。「麻央は自分が思っているより強いよ。私も近くで監視しているから」

「この機材は一体どうやって?」監視技術は高価に見えた――大学生の予算をはるかに超...

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