第6章

都城大学のボールルームは、まるでおとぎ話の一場面のようにきらめいていた。

真紅のドレスをまとった私はエントランスに立ち、あらゆる視線が自分に注がれるのを感じていた。シルクが吸い付くように体のラインをなぞり、今日だけは、か弱い存在ではなく力強い自分を感じられた。

「中島さん、今夜は本当に素晴らしいですね」と、理事の一人である白石さんが声をかけてきた。

坂井瑛太が私の隣に現れ、所有物だとでも言うように腰に腕を回した。「ここにいる誰よりも幸運な男ですよ、私は」

「瑛太はいつも、私を特別な気分にさせてくれるんです」私は硝子細工のように脆い、作り慣れた笑顔で返した。

部屋の向こうで、...

ログインして続きを読む