第4章

ダンテ視点

「アマンダ!」

 ダンテの心臓が早鐘を打ち、貨物列車に衝突されたような衝撃とパニックが彼を襲った。彼はウォークインクローゼットに駆け込んだ。彼女の服はすべてそこにあった。宝石類もだ。彼女自身だけが、消えていた。

「誰か! 彼女を探せ! すべての出口を封鎖しろ!」

 ダンテは狂ったように階下へ駆け下り、執事の襟首を掴んで怒鳴りつけた。

 本邸は上を下への大騒ぎとなった。

「ルッソ様……裏門の死角付近にタイヤの跡が見つかりました」ボディガードが怯えながら報告した。

 ダンテは警備室に飛び込み、過去数日間の映像をすべて呼び出した。アマンダがいつ逃亡を計画し始めたのかを知る必要があった。

 だが、二日前の庭の監視カメラ映像を確認していたとき、背筋が凍るような光景を目にした。

 音声はなかったが、マギーがブルータスに肉片を投げ与えているのがはっきりと映っていた。それを食べた直後、犬は痙攣を始めた。マギーは冷酷で満足げな笑みを浮かべて立ち尽くし、瀕死の動物を足で蹴りさえしたのだ。

 そして翌日、アマンダは飛び出し、水の中へ飛び込んだ……。

「パァン!」

 ダンテは自身の頬を力任せに叩いた。

 本当だった。彼女は嘘をついていなかった。マギーが本当に犬を殺したのだ。それなのに、彼は……彼はあの毒蛇のような女のためにアマンダを打ち、彼女を追い詰めてしまった。

 彼は椅子に崩れ落ちた。頭を抱える。彼は彼女ではなく、マギーを選んでしまったのだ。

「俺はなんてことを……一体なんてことをしてしまったんだ……」

 ダンテは膝から崩れ落ち、ダイヤモンドの指輪を握りしめ、涙を流した。

「ルッソ様、マギー様が階下で泣いておられます。めまいがすると……」執事が恐る恐るドアの隙間から覗き込んだ。

「出て行けと伝えろ!」ダンテの目は傷ついた獣のように血走っていた。

 震える手で携帯電話を取り出し、アマンダの番号にかける。

「おかけになった電話は、電波の届かない場所にあるか……」

 冷たい機械音声が、彼を完全に打ちのめした。

「彼女を見つけ出せ! 草の根を分けても探し出すんだ!」ダンテは部下たちに怒号を浴びせた。「彼女は俺の妻だ! 俺だけのものなんだ!」

 そして、彼の声が震えた。「手段は選ばん。妻を見つけてくれ」

 彼らはあらゆる場所を捜索した。空港、駅、バスターミナル。アマンダ・ロドリゲスも、アマンダ・ルッソもいない。痕跡すらない。

 ダンテはすべてのホテル、五つ星から安宿までしらみつぶしに当たった。それでも何も見つからなかった。

「ボス、すべての出口は押さえました」マルコが言った。彼は疲労困憊していた。「まるで煙のように消えてしまいました」

「消えただと!」ダンテは机を拳で叩きつけた。「彼女は幽霊じゃない! 探し続けろ!」

 だが時間が過ぎるごとに、気分は悪くなる一方だった。

 アマンダ、どこにいるんだ? 頼む……無事でいてくれ。

 その日の夜、書斎にマギーが現れた。

「ダンテ」彼女の声は甘ったるい。「話をしたいの……私たちのこと。それから、赤ちゃんのこと……」

 彼はゆっくりと振り返った。彼女は入り口に立ち、片手をお腹に添えている。その顔には無垢な表情が張り付いていた。

「なぜあんなことをした?」

「な……何のこと?」

「犬だ、マギー。なぜアマンダの犬を殺した?」

 彼女の顔から血の気が引いた。「わ、私……何のことか……」

「カメラがすべてを捉えていた」彼は彼女に一歩近づいた。「すべて、だ」

「ダンテ、待って、違うの!」彼女は後ずさりした。「誤解よ! あの犬は危険だったの、私に唸り続けて、私はただ赤ちゃんを守ろうと――」

「お前は嘘をついた」彼はさらに一歩踏み出した。「お前はアマンダがおかしくなったと俺に思い込ませた。俺に妻を殴らせたんだ」

「お願い!」彼女はその場に膝をついた。「お願い、私はただ……この子のために家が必要だったの。ルイージの子に父親を与えたかった。必死だったの、他にどうすればいいか分からなくて――」

「出て行け」

「ダンテ――」

「出て行けと言ったんだ!」

 彼女が身をすくませた。その時、彼女の顔が歪んだ。「ああ、うそ……そんな……」

「何だ?」

「赤ちゃんが……」ドレスが水で濡れていく。「ダンテ、何かおかしいわ、赤ちゃんが――」

 クソッ。彼は目を閉じ、息を吸い込んだ。ルイージ。これはルイージのためだ。

「彼女を病院へ連れて行け」彼はマルコに命じた。

「ボス?」

「今すぐだ」

 分娩室は三時間閉ざされていた。ダンテは外を歩き回り、頭の中は完全に混乱していた。

 アマンダ。マギー。ルイージ。約束。嘘。まともに思考できなかった。

 看護師が出てきた。「ルッソ様? 男の子ですよ。健康です。抱いてあげてください」

 拒否する間もなく、彼女は赤ちゃんを彼の腕に押し付けた。彼は見下ろした。小さな顔、閉じた瞳、胸に押し付けられた小さな拳。

 なんて小さいんだ。

「目がルッソ様にそっくりですね」と看護師が言った。

 すべてが……停止した。

 彼の息子。彼の実の息子。アマンダが宿していた子。この子のような姿をしていただろう。彼と同じ目を、していただろう。

「ルッソ様? 大丈夫ですか?」

 ダンテは声が出せず、息もできなかった。赤ちゃんの姿が滲み、視界が涙で溢れていく。

 彼はあの子を殺した。自分の子供を殺したんだ。

「連れて行け」彼は赤ちゃんを彼女に押し返した。「連れて行ってくれ」

「ですが――」

「連れて行けと言っているんだ!」

 彼はそこから逃げ出した。駐車場は暗く、彼は車にもたれかかり、泣き崩れた。

 アマンダ。ああ、なんてこと。自分は彼女になんてことをしてしまったんだ? 一体なんてことを?

 彼は道路などろくに見ずに車を走らせ、帰宅した。家は暗く、空っぽだった。寝室にはまだ彼女の匂いが残っていた。

 彼女を見つけ出す。たとえ膝をついて懇願することになっても。もう一度やり直すんだ、また子供を作ろう、残りの人生をかけて償うから。

 そうしなくてはならない。そうでなければ、生きていけない。

 夜明けに車を止めると、執事のカルミネが待っていた。金の封筒を手にしている。

「ルッソ様、一時間前にこれが」

「何だ?」

「招待状です。セヴェリーノ家からの」

 ダンテは受け取ったが、気にする気力もなかった。結婚式の招待状だ。シルベスター・セヴェリーノが結婚する。

「なぜそんなことを俺に報告する?」

「ルッソ様、断るのは非礼にあたります。セヴェリーノ家は強大な力を持っておりますので……」

 彼は文面に目を落とした。「シルベスター・セヴェリーノは貴殿の出席を……」

 待て。何かがおかしい。彼は裏返し、中を確認した。シルベスターの名前だけだ。新婦の名前がない。

「彼は誰と結婚するんだ?」

「書かれておりません、ルッソ様」

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