第4話 ゲームオン

スリッパを脱ぎ捨ててソファに深く身を沈め、膝の上にラップトップを引き寄せた。画面いっぱいに、新井千晶の顔が映し出される。ロンドンは深夜零時を過ぎているというのに、彼女の赤いリップは完璧なままだった。

「さあ、洗いざらい話しなさい。全部よ」千晶はオフィスチェアに深くもたれかかった。「それから、その謎の彼氏のところは、絶対に端折らないでちょうだい」

私は笑ってみせたが、その響きはどこか苦かった。

「ええ、それなんだけど……」ソファの上で膝を抱え込む。「悠真は、実は彼氏じゃないの」

彼女が、綺麗に整えられた眉を吊り上げる。

「ごめん、今なんて言った?」

「彼はうちの新しいクリエイ...

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