第6話 自ら墓穴を掘る

最前列に座っていた私は、池田花子がカメラに捉えられた瞬間に、その表情が激しい怒りから砂糖菓子のように甘いものへと変わるのを、はっきりと目撃した。だが、あの刹那に放たれた純粋な毒気はどうだ。カメラマンたちは、その全てを捉えていた。彼女の瞳には、鋼さえも溶かしてしまいそうなほどの、剥き出しの悪意が宿っていた。

プレゼンターは、ナイフで切り裂けそうなほどの緊張感を察したのだろう。

「さあ! それでは、インフルエンシャル・ファッションフィギュア部門の候補者の皆様へと移りましょう」

巨大なスクリーンがドラマチックな音楽と共にライトアップされ、カメラが各候補者を次々と映し出す。四つの顔、四つ...

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