第9話 お金で問題を解決する

大塚健は、まだ何かを喋り続けていたが、正直なところ、私の心は何も感じていなかった。

「大塚さん。池田花子をめぐるゴタゴタなんて、心底どうでもいい。彼女がどんなゲームを仕掛けたにせよ、それにまんまと乗せられたのはあなたでしょ。彼女を選んだのは、あなた自身だっていうこと、忘れたの?」

私の声が、静かな廊下の壁に跳ね返った。

「それに、彼女のこと、何も知らない無垢な子羊みたいに言ってなかった? それも、あなたが下した評価。もし判断を誤ったのなら、それはあなたの責任よ」

彼の目は真っ赤に充血し、正気とは思えない光を宿していた。

「君にしたことを、謝って済む問題じゃないのは分かってる。...

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