第15章 おかしな田中威

東山美咲は膝を抱え、焚き火の左側に座っていた。俯いたまま黙り込んでおり、何を考えているのか誰にも分からなかった。

鈴木清は俺の優しさにひどく感動したのか、自ら俺の胸に寄りかかってきた。二人で抱き合えば、一人でいるよりいくらか暖かい。

中村京子というクソ女のように。今頃、田中威と体を寄せ合っている。クソ女とクソ豚、お似合いの組み合わせだ。

洞窟内の雰囲気はひどく沈黙していた。危険が去った後、安堵の他に残るのは、未来への憂慮だった。

五人の中で、東山美咲だけがひとりぼっちだった。彼女はよほど寒いのだろう、滑らかで白く嫩いその手で、体のあちこちを擦っている。摩擦で熱を生み出すのは、悪...

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