第80章 スノーシュー

「あ、わかった。飛鳥お兄ちゃんはテニスラケットを作って、私たちに運動させて体温を保たせるつもりなんでしょ。でも、ラケットはあってもテニスボールがないよ。……そうだ、外の雪でテニスボールをいくつか握って作るのね」

夢ちゃんは楽しそうに手を挙げた。問題を早押しで答える生徒のようで、とても可愛らしく見えるが、馬鹿なのもまた事実だ。僕がこれほど事態の深刻さを伝えたというのに、彼女がまだテニスのことを考えているとは、想像しがたい。

「もちろん違う。テニスが体を鍛える運動なのは確かだ。もし後でテニスがしたくなったら、ラケットを作ってやるよ。でも、今じゃない。これはこうやって使うんだ」僕は夢ちゃんを見...

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