第15章 痕跡

長谷川寂はフンと鼻を鳴らした。手の中の冷めたスープを、そいつの顔面にぶちまけてやりたい気分だった。「一方が悪役、もう一方が善人役って約束だったはずだ。お前はいいよな、いいとこ全部持ってっちまいやがって」

長谷川寂は白目を剥いた。

加藤紹輝は笑った。「君はいつも悪役じゃないか」

加藤紹輝は一つ咳払いをし、真顔になった。「佐久本先生はまだ外に部屋を借りていないようだ。何か手を考えてやれないか?」

「あいつはもう大人だ。俺が何を考えるってんだ?まさか俺が養ってやれとでも?」

長谷川寂はイライラと乱れた髪をかきむしり、不機嫌な口調で言った。「ったく、特別捜査班はあんな女がいていい場所じゃねえ...

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