第17章 質問

メッセージの通知を目にした長谷川寂の顔に、冷たい色がさっと過り、すぐさま指先でそれをスワイプして消した。

すぐに長谷川寂はゆっくりと顔を上げ、綾瀬子濯を見つめて尋ねた。「綾瀬社長、絵ははっきり見えましたか?あなたのものですか、見覚えはありますか」

綾瀬子濯は眉をひそめ、ふと手を叩くと、やや興奮した様子で口を開いた。「思い出しました。以前、確かに一人の娘さんが私のワイナリーへ酒を買いに来た際、この絵を気に入って」

「私は当時、この絵に何の感慨もなかったので、彼女に買ってもらいました」

長谷川寂はスマホをしまい、尋ねた。「その娘さんは何のお酒を?名前は覚えていますか」

綾瀬子濯は淡々とお...

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