第18章 彼を騙す

長谷川寂は舌打ちした。「奴が俺より見目がいいってのが、気に食わねえだけだ」

加藤紹輝は白目を剥いた。

長谷川寂は手を拭きながら、ひどく落ち着いた口調で言った。「紹卿、どうしてお前は奴が犯人じゃないと思うんだ?奴が犯人だという証拠もなければ、犯人じゃないという証拠もない」

加藤紹輝は唇を引き結び、深呼吸してから低い声で言った。「少し黙ってろ」

「佐久本令朝から、次の被害者が誰かわかったと連絡があった」

長谷川寂の唐突な一言に、加藤紹輝は黙り込んだ。

その表情は珍しくどこか間の抜けたものだった。

しばらくして、彼は少し興奮したように口を開いた。「もう次の被害者を見つけた...

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