第20章 朝ちゃん

これまでの市警には何人もの法医がいたが、彼らは検視と検視報告書の作成以外、いかなる事件の捜査会議にも参加しなかった。

事件解決どころか、遺体がない状況で現場に赴くことなどあり得なかった。

佐久本令朝は我に返ると、ゆっくりと口を開いた。「まだこちらで部屋を借りていなくて、最近はずっと解剖室で寝泊まりしています」

周防墨は口元を引きつらせ、菅原凱捷でさえそれを聞くと、奇妙な眼差しを向けた。

佐久本令朝は見たところ物腰が柔らかく、法医になっただけでも十分に衝撃的なのに、今度は解剖室に住んでいるとは……。

解剖室という場所は、どうにもたくさんの幽霊がいそうだ。

周防墨はぶるりと身震いした...

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