第21章 申請

「交通局には資料を送ったのか?周防墨、お前の調査はどうなってる?」

すでに交通局に通知済みとあらば、長谷川寂もこの件でこれ以上くどくど言うつもりはなかった。そんなことをすれば、自分が器の小さい男だと思われるだけだ。

長谷川寂が周防墨に視線を向けると、彼が口を開いた。

「長谷川隊長、交通局の方には手がかりがあり次第、すぐに隊長に連絡するよう伝えてあります」

交通局の協力があれば、綾瀬子濯の足取りを追うのは容易い。難しいのは、綾瀬子濯の交友関係や名義資産などだ。菅原凱捷は半日かけて調査したが、頭を抱えるばかりだった。

長谷川寂は菅原凱捷に目を向けた。

「お前の調査はどうだ?」

菅原凱捷は...

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