第23章 痕跡

翌日、空からはしとしとと小雨が降り始め、気温が数度下がった。

菅原凱捷が慌ただしく駆け込んできた。ズボンの裾には泥がこびりついている。彼はそのまま特別捜査班に飛び込み、軽く息を切らしながら言った。「立川婉の両親が見つかりました」

皆は一瞬呆気に取られ、朝食を食べる手も止まった。

菅原凱捷はにやりと笑い、水滴のついた髪を振り払った。「絶対想像つかないと思いますよ、立川婉の両親が誰なのか」

長谷川寂が目を細める。「もったいぶるな、言え」

「古川惜之の両親です。古川惜之は養子で、恐らく養子縁組の際に取り違えがあったようです」

全員「!!!」

被害者の遺族は全員取り調べを受けていたが、古...

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