第33章 自殺

朝早く、加藤紹輝が出勤すると、長谷川寂が自身のボロ車を駆り、佐久本令朝を乗せて疾走していくのが見えた。

加藤紹輝は頭を掻きながら、「長谷川隊長、まさか面子を潰されて謝れず、力ずくで黙らせるつもりじゃねえだろうな?」と呟いた。

だが、よくよく考えてみれば、長谷川寂はそんな性格の人間ではない。

車は路上を疾走していた。佐久本令朝はずっと窓の外に目をやっている。天気はあまり良くなく、黒い雲が街に重く垂れ込めていた。

車内の雰囲気もまた、沈んでいた。

佐久本令朝には、周防譲青がなぜ自殺したのか理解できなかった。数日前、彼の口から何の手がかりも引き出せなかった。道理から言えば、彼が...

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