第37章 目的

ホテルに着くと、受付嬢は二の句も告げずに部屋の鍵を渡してきた。その目には明らかな恐怖が浮かんでいる。

この辺りは確かに少々治安が悪く、日々部屋を取りに来る客は少なくない。

彼女は余計なことを聞く勇気がなかった。

部屋に入るなり、佐久本令朝は直接ソファに腰を下ろし、両脚をローテーブルに乗せた。目の前の五人組をまぶたを持ち上げるように見据え、冷徹な声で言い放つ。

「ここまで来てまだ芝居を続ける気か。お前ら、いったい何者だ」

五人の男たちの表情が微かに変わった。

中にはまだ酔ったふりを続け、佐久本令朝に近寄ろうとする者もいる。彼女の隣に座り、身を寄せながら言った。

「嬢ちゃん、何言ってんだ...

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