第45章 偽装

長谷川寂は全く意に介さず、「俺は朝飯を食ってない。あんたらで話を進めてくれ」と言った。

長谷川寂のあまりに無頓着な態度が、かえって池田暁の警戒心を少し解いたのかもしれない。

「池田さん、あなたは被害者の夫と母親をご存じなんですよね? 葉山明遠のことを、ずいぶん嫌っているように見えましたが」佐久本令朝は単刀直入に切り出した。

池田暁は眉をひそめた。先ほどの自分の些細な感情の動きが警察に見抜かれていたとは思ってもみなかったようで、途端に狼狽え始める。「そんなこと……ありましたか? お巡りさん、見間違いじゃ……人聞きの悪いこと言わないでくださいよ」

「あの人たちとは、別に親しくありませんから...

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