第52章 彼は憎む

葉山行舟はただ笑っただけだった。「何を怖がることがある。監視カメラの映像は俺が消したんだ。隠すつもりもないし、大したことじゃない」

「それに、俺たちの仲だ、お前がはっきり言ったってどうってことない。長谷川寂には会ったことがあるが、悪い奴じゃない。ただ、根掘り葉掘り聞くのが好きなだけだ」

「あいつに目をつけられたら、一皮剥がされるどころじゃ済まないぞ」葉山行舟はそこまで言って、少し感情を抑え、くぐもった声になった。「異動させてやろうか?あいつはかなり厄介だ」

「別の管轄に行くのは面倒だが、邪魔者はいない」

佐久本令朝はソファに座り、気だるそうにあくびをしながら言った。「葉山おじさん、大丈...

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