第53章 緊張

葉山明遠は彼らが警察だと分かっていたので、どうしようもなく、中へ入れるしかなかった。

部屋は散らかっており、三人もの人間が入ったことで、一層手狭に感じられた。

長谷川寂はさっと室内を見渡し、化粧台の上の物を見た時、わずかに視線を止めた。

葉山明遠は慌てて中へ入ると手早く片付け、化粧台やソファの上の物をすべて取り去った。

「尽染はまだ帰ってなくて。普段はこういうの、全部あいつが片付けてるんで」

長谷川寂は言った。「つまり、あんたは五体満足な大の男でありながら、これくらいの自分のことは全部、奥さん一人にやらせてたってわけか」

葉山明遠はわずかに気まずそうな顔をしたが、それで...

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