第58章 心が後ろめたい

林田尽染の住まいと比べれば、この賃貸部屋はかなり広く、リビングの調度品も温かみがあり、とても家庭的な雰囲気だった。

長谷川寂の視線に気づき、葉山明遠はさらに深く頭を垂れた。

高田聴は思わず口を挟む。「俺たち、高校からの知り合いなんだ。あいつは林田尽染になんて愛情はなかった。愛されてない方が浮気相手だろ」

佐久本令朝は白目を剥いた。「あんたみたいな浮気相手が、どの口で愛を語るのよ」

長谷川寂は気づいた。この女は今、かなり腹を立てている。

三人が沈黙する中、長谷川寂は佐久本令朝を引っ張ってその場を離れた。

後に残された一家は、気まずさと猜疑心に包まれていた。

車に乗り込むと、長谷川寂...

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