第67章 罪をかぶる

佐久本令朝が以前、足裏マッサージ店で彼を見かけたのは一度きりだった。すべての客の中で、彼はどこか不自然に浮いていた。

彼は後ろめたいことがあるようで、ひっきりなしにいつになったら帰してくれるのかと警官に尋ねていた。

帰れないと知らされても諦めず、非協力的な態度を貫き、今に至るまで、彼の口から得られた情報はさほど多くない。

だが、彼が話したがらなくとも、話したい人間は他にいる。

加藤紹輝は長谷川寂からの電話を受けると、佐久本令朝に目配せして言った。「青坂の奥さんと、彼らの子供の青坂林、二人とも連れてきました」

「あいつらには聞かないでくれ。俺が話す、全部話すから」

青坂浩穰はそこでよ...

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